体外受精の流れと胚移植後の過ごし方

2019.7.2

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体外受精で胚移植をしてから妊娠の判定を待つ間は、期待と不安でいっぱいになることと思います。妊娠の確率を高めるには、胚移植後、どのような点に気をつけて過ごせばよいのでしょうか。ここでは、体外受精の大まかな流れと、その後の過ごし方における注意点についてご紹介します。

体外受精の種類と流れ

タイミング法や人工授精といった一般不妊治療を行っても妊娠が難しい場合、体外受精へのステップアップが考慮されます。体外受精では、女性から採取した卵子と男性から採取した精子を培養液中で受精させた後、子宮に移植して着床させます。精子の量が少なかったり、濃度や運動率が低い場合には、卵子に直接精子を注入する顕微授精を行います。

一般的には、人工授精で妊娠する確率は10%程度、体外受精や顕微授精では30~40%程度といわれています。ただし、妊娠する確率はカップルの状況によって異なり、一度の体外受精で妊娠する人もいれば、10回以上繰り返す人もいます。また、年齢が上がるにつれて妊娠する確率は低下し、流産率が上昇します。

時期については、受精後2~3日の初期胚で移植するケースと、受精して5日目の胚盤胞を移植するケース、一旦凍結して翌生理周期以降に移植する凍結融解胚移植があります。カテーテルで吸引した胚を子宮内に移植し、採卵日から約14日以降に妊娠したかどうかを判定します。

胚盤胞移植は初期胚移植よりも着床率が高く、移植数を減らすことができる方法として導入されました。しかし、全ての胚が胚盤胞まで育つとは限らず、移植自体が中止となるリスクもあるため、胚盤胞移植を行うかどうかについては、卵巣の反応が良く、初期胚移植を繰り返しても妊娠に至らない場合など、施設によって基準を定めて慎重に判断しています。

黄体ホルモン剤の服用を忘れずに

移植後の安静時間は医療機関によってさまざまですが、30分から2時間程度、ベッドで休んでから帰宅するケースが多いようです。ただし、最近では安静時間の長さと妊娠する確率にはあまり関係が無いことが分かってきており、安静時間を設けない施設もあります。

移植後は、着床率を高めるために黄体ホルモン剤が処方されます。黄体ホルモン剤には、経口薬、貼付薬、注射剤などがあり、卵巣機能に応じて処方されますので、医師の指示に従って忘れずに服用してください。ただし、服薬中は体温が高くなることがあり、「熱っぽい」、「なんとなくだるい」などの症状が出る場合があります。移植当日や翌日に38度以上の熱が出た場合には、医療機関に連絡してください。

入浴、仕事は移植翌日からいつもどおりに

妊娠の判定結果が出るまでは、不安やストレスを感じるかもしれませんが、日常生活ではできるだけリラックスして過ごすよう心がけましょう。

日常的に行っている家事や軽い運動などは、移植後も特に制限する必要はありません。ただし、自転車など下腹部に振動が伝わるものや、激しい運動は控えてください。移植当日は入浴を避けシャワーのみとする必要がありますが、翌日からは通常どおり入浴しても構いません。

会社勤めの人は、移植当日は出勤を控えた方が適切ですが、次の日からは特に問題ありません。また、移植後数日は安静にする必要がありますので、性交渉も避けた方が良いですが、その後は特に問題ありません。ただし、おなかが強く張っている場合は、卵巣が腫れている可能性があるので、性交渉は控えるようにしてください。

冷えは妊娠にとって大敵ですので、ひざ掛け、靴下などで冷えを防止すると良いでしょう。また、十分な睡眠や栄養バランスの良い食事をとることも重要です。アルコールやコーヒーは少量なら問題ありませんが、喫煙は母体にも胎児にも悪影響を及ぼすため厳禁です。

妊娠判定に際しての注意

市販の検査薬を使えば、自分で妊娠したかどうかを判定することができます。しかし市販の検査薬で判定する場合、服用しているホルモン剤の種類によって実際には妊娠していないのに妊娠しているといった結果(偽陽性)や、子宮外に着床するいわゆる子宮外妊娠(異所性妊娠)などで陽性反応が出ることもありますので、妊娠判定は必ず医療機関で受けるようにしましょう。

妊娠していると判定されたら、赤ちゃんを産む施設を選び、出産に向けて準備してください。残念ながら妊娠していないと判定された場合には、今後の治療方針や時期などについて、医療機関から説明が行われます。金銭的、精神的、身体的負担などについてよく考え、治療を続けるかどうか、パートナーとよく話し合って決めるようにしましょう。

(文/メディカルトリビューン編集部)